yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

小川典子ピアノリサイタル その4


後半、最初の一曲は、初演であります。
前半のプログラムでは、小川さんは楽譜を置きませんでした。
暗譜で弾いていました。

この曲には楽譜が置かれました。
それと、何故か・・・、鈴・・・。

小川さんが椅子に座り、ピアノに向かうと、
証明が落ちます・・・。

ええ??

真っ暗になってしまうのではないかと思われるほど。
かろうじて、ピアノと演奏者が判別できる程度の照明・・・。

観客の注目度と、緊張感も高まります。
そんな中で、なんと小川さんは、左手で鈴を鳴らし、
右手でかなり高音部を、複雑なる旋律を奏で始めました。

現代音楽? 前衛音楽??

その手の音楽に疎い私にはうまく表現できませんが、
メロディー、リズム、ハーモニーといった音楽の要素だけでなく、
空間と言うものを感じました・・・。

左手に鈴を持ち、右手で鍵盤を奏で、
逆に、右手で鈴を鳴らし、左手で旋律を導く・・・。
鈴をおいたかと思うと、全鍵盤を使うのではないかと思われるほどの
凄まじい速さでの演奏・・・。

この曲はいったい???

しかし、私は、こんなタイプの曲に以前も出会ったことがあるはず・・・。
誰だ??


!!


武満徹??

日本を代表する作曲家でありますが、私は彼のギター曲しか、
知りません。やはり彼の音楽にも「空間」と言うものを感じたのでした。


演奏が終ると、すさまじい拍手がホールに鳴り響きました。
一瞬、私は驚いてしまいました。
第一楽章が終ったのじゃないのか?
クラシックコンサートでは、楽章間に拍手は入れません。
時計を見ると、すでに20分が経過しておりました。
驚きました。 すでにそんなに時間が経過していたとは・・・。
宇宙的なる空間を表現したこの曲は、時間を圧縮したようです。
私は時間の経過を忘れてしまって、錯覚してしまったのです・・・。


あわてて、拍手しはじめると、なにやら小川さんが
客席に手招きをしているではありませんか・・・。

え?

男性が一人、舞台に上がりました。
小川さんが彼を紹介しました。
この曲の作曲者である、菅野由弘さん・・・。

言われてみれば、そうですね。初演なのですから、
作曲者がそこにいても不思議ではない。

小川さんが質問する形をとりながら、
菅野さんはこの曲について解説してくださいました。


基本的に、日本的な音楽を目指した事。
そのために、南部鈴を演奏に入れた事。
主旋律や、副旋律という概念ではなく、
多旋律のからみが旋律になると言う事。(バッハ的?)

ちなみにこの曲、片手で、二つの旋律を弾くという、
とんでもない難易度の高い曲であることも分かりました。


そして、コンサート最後の曲は、再びベートーヴェン
ピアノソナタ 「熱情」でありました。

素晴らしい演奏ではありましたが、
なんだか、あの曲のインパクトが強すぎて、霞んでしまった
ような気もします。



ベートーヴェンは楽しめました。最高でした。
しかし、全然ノーマークだった曲に、ノックアウトされて、
家路に着きました。
その曲名さえ知らずにです・・・。

帰宅してからプログラムをみて、その曲名が、
「光の粒子」
だと知り、全く、タイトル通りの曲だったと改めて驚きました。



あれから、何日か経ちました。
音楽は瞬間芸術でありますね。
視覚的な刺激は、結構残っていくものですが、
聴覚的なる刺激は、風化するのも早いです・・・。
だから、コンサート会場に足が行くのですけれどね・・・。

毎日、ベートーヴェンのピアノを聞いて過ごしている毎日です。
はい♪ (爆)