yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

プロの技


昨日の、朝日新聞の投書欄で読んだ記事です。



群馬県富岡市で6日夜開催された、
ウィーンフィルコンサートマスター、ライナー・キュッヒル氏の
ヴァイオリンリサイタル。
柔らかな美しい音に至福の時を過ごすことができました。
曲はウィーンゆかりのシューベルトベートーヴェンらの
ヴァイオリンソナタ

プログラム後半、モーツァルトソナタを演奏中の事、
客席の後方で、携帯電話の受信音が鳴り始めました。
ちょうど楽章が替わり、次の楽章を引き出す寸前、
10秒ほどの間でした。

氏が音をやむのをまつ間、場内がざわつきました。

受信音が消えて、数秒後、氏は再び弾き始めましたが、
何と、それは、
携帯電話の電子音のメロディーと寸分違わずまねた音でした。

会場は驚きで息をのんだ後、静かな笑いの輪が広がりました。

一瞬のうちに会場を和ませ、自らの気持ちも落ち着かせた機転と
スピリットは、まさしくメイド・イン・オーストリア
そして、何事もなかったように続いた素晴らしい演奏。
一度はウィーンで音楽会を楽しみたい。
と私に思わせた一夜でした。



この記事を読んだとき、私は鳥肌が立ちました。

演奏会で、携帯が鳴りだすなど、こんな不愉快な事はありません。
しかも、楽章間で、このために、たとえ10秒であろうとも、
演奏が中断されるのです。 聞く者にとっても、演奏者にとっても、
迷惑この上ないことでありましょう。

しかし、ライナー・キュッヒル氏は、とっさの機転で、
皆の不愉快を取り除いたのです。
しかも、携帯が鳴っていたたった10秒の間で・・・。

プロの演奏家は、当たり前ですが、演奏技術が高度で当然・・・。
それに、各自の音楽性を加味し、聞く者を楽しませてくれます。
それはCDでも、演奏会でも一緒だと思います。

クラシック音楽は芸術であることは間違いありませんが、
今日的には、エンターテイメントでもあるとも思います。
氏が、「聞かせてやっている」などという姿勢で無いから、
こんな、ユーモアを発揮できるのだと思います。

技や音楽性は勿論、プロの見せ所。
でも、これぞまさしく、プロの技ではないでしょうか・・・。

と、私は思ったのですが・・・。