しっぽ大王の独り言 06
我輩、いつものように、たいら氏の家でゴハンを食べると、
ひと眠りしておった。 最近は、我輩用のクッションもあるので、
大変にくつろいでおるのだ。
すると、ピンポンが鳴った。
部屋の外にあるボタンを押すと、部屋の中では
ピンポ~ンと鳴るのを我輩は知っている。
ピンポンのボタンは、ちょうど洗濯機に上ると、
すぐそばにあるので、我輩も、いつか、やってみようと思う。
ピンポンを押したのは宅配便のおじさんである。
たいら氏はなにかの本を買ったようである。
それが今届いたのだ。
たいら氏はお金を払い、品物を受け取った。
我輩はたいら氏の足元で、それを見ていた。
たいら氏は伝票にサインして、
普通なら、宅配便のおじさんは帰るのだが、
なにやら我輩を見ているではないか・・・。
「でかいですねぇ・・・」
と宅配便のおじさん・・・。
「でかいです」
とたいら氏・・・。
「外人なんですかねぇ・・・」
とおじさん。
「絶対、外人です」
とたいら氏。
我輩は猫である。
したがって、人ではないから「外人」ではない。
我輩の出生は、我輩にも分からんが、
少なくとも純粋な日本猫でないことは確かであろう。
「いっぱい食うんでしょうね・・・」
「はい、もう、いっぱい食います」
「しっぽが大きいですねぇ!!」
「大きいですねぇ・・・」
「きつねみたいじゃありませんか?」
「ああ、そうかもしれません」
「そのうち、九本になっちゃったりして」
「あははは・・・」
「それじゃ、どうもありがとうございました」
おじさんは帰った。
たいら氏はドアをしめ、施錠すると、
我輩の方を見て、 ぷっ! と笑った。
我輩は猫である。
九尾の狐ではないぞよ!!