yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

ベストフォーク

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ベストフォーク100~青春のFOLK & POPS~

 六枚組み、百曲入りCDボックスセットです。年代的に言えば、1969
年あたりから、70年代に流行った曲をセレクトしてあるようです。

 一応、DISC1から年代順に並んでいる様です。私の記憶ではDISC3当
りから聞いたような曲が並び始めます。それにしても小学生や中学生で
あったので、「神田川」などの大ヒットを除けば、歌詞など覚えている筈もな
く、ただただ曲を聞いて、懐かしいと思うばかりなのです。

 懐かしいと同時に驚いた事があります。なんと音の良い事か。考えてみ
れば当たり前の事で、当時はCDなんざまだ影も形もありません。ステレオ
すらも持っていなかった私が音楽を楽しむのには、ラジカセでエアーチェック
するしかありませんでした。

 若い方は「エアーチェック」なんて言葉も知らないでしょうが、要するに、ラ
ジオで流れる曲をカセットテープに録音するのです。昔のラジカセは殆どが
モノラルで、ラジオと言うのはフルコーラス流す事はあまりありません。アナ
ウンサーの声が入ってしまう事など仕方ない事でした。

 劣悪なる音源で、しかもカセットテープと言うのは耐久性に乏しく、何回も
聞いていると、更に音質は劣化し、しまいにはテープ自体が伸びて、曲が
遅くなると言う、今では大笑いできる状況でした。

 それと、私は高校生くらいから音楽の趣味が変わり、ロックに傾倒してい
くので、それ以後、フォークを聞かなくなり、CDとしての音源を始めて入手
したに等しい状況なので、素晴らしい音に非常に新鮮さを感じたのでした。

 それ以外の新たなる刺激として、何年もの時を経て、ただの流行り歌が
心に染み入る曲に変わっていたと言う事です。

 小学生の時に、歌詞の上っ面だけ舐めて歌った「神田川」、中学の時に
ギターを弾きながら歌った「神田川」。
 十四歳の子供にあの世界が分かる筈もなく、今聞きながら、

「若かったあの頃、何も怖くなかった ただあなたの優しさが怖かった」

 という恐るべき歌詞の重さを、かみしめる事が出来る年代になったのか
と、少々複雑な心境でもあります。


 もっと衝撃を受けたのは、杉田二郎の「ANAK(息子)」でした。
この歌が流行った時、私は「子」と言う立場の人間でした。良い歌だとは
思いましたが、やはり時を経て、親になり、改めて聞いて、衝撃を受けた
のでした。
 父と母に無制限の喜びを与えて授かった筈の息子が、やがて悪の道に
入り、家を出て、荒んだ生活をする。何も出来ず、ただひたすらに息子の
事を想う父親の歌です。
 何故、この歌が世界中で流行ったのか、親が子を愛すと言う、あまり
にも普遍的なるテーマにも、気付かなかった私が、あの当時いました。


 歌は変わっていない。変わったのは自分自身なのです。
歳を取ると言うのは、悪い事ばかりでも無いようです。