テロから五年…
ニューヨークの貿易センタービルにジャンボ機が突っ込んでから、
今日で五年経ちました。はやいですね、もう五年。
確かあのとき、酔い潰れて眠りこけ、深夜に目覚めたのでした。
布団も敷いてなく、テレビはつけっぱなしというだらしない状況でした。
朦朧とした意識の中で、やけにテレビがうるさいと感じたのでした。
そのうるさいテレビの中で、同じシーンが何度も何度も繰り返される。
そうです。あの衝撃映像が何度も何度も…。
覚醒しない私の頭にはそれは大した意味を持っていませんでした。
何故ならテレビという箱の中では日常茶飯事的におこっている事だから
でした。
でも、ぼけた頭でもようやく分かってきました。
テレビに映っているビルは本物である事。
突っ込んでいるジェット機も本物である事。
そして、それらが本物であるなら、ビルの中にも飛行機の中にも
多数の人がいること…。
馬鹿な…、こんなことが現実にあるはずが…。
テレビを食い入るように見ているうちに
いつのまにか朝になっていました。
アルカイダ、ウサマ・ビンラディン、聞き慣れない団体名と人名。
事故後最初に声明を出したのは、パレスチナのアラファト議長。
元祖テロリストが、今、史上最悪のテロリストを非難している。
なんという皮肉なる展開でしょうか…。
アメリカが正義の名の元に「リベンジ」に出たのは周知の通りです。
アフガンを破壊し、イラクに攻め入り、国の機能を麻痺させた。
フセインは確かに独裁者だったかもしれません。しかし体裁は
どうであれ、国を国として存続させていた事は確かです。
ブッシュにはそれが出来ない。
テロに立ち向かう事は世界の正義であります。
しかしアメリカのやり方が正しかった、と思う人はだんだん減っていく。
戦争に対する大義名分は次々と否定されていきます。
しかし、それでも憎悪の連鎖は巨大国家に受け継がれてしまった。
この連鎖はどっかで断ち切らなければいけない。
人類に出来るのでしょうか?
連綿と続いてきた民族、人種、宗教等の対立から生まれてきた憎悪。
あの日、あの事件で命を落とした多くの人たちが望んでいる事。
それはリベンジじゃないはず…。
あの事件で命を失った全ての人々の冥福を祈ります。