yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

この子、誰の子


昨日の新聞の一面にこんな見出しがありました。

代理出産 実子と認めず」

元プロレスラーの高田延彦さんと、向井亜紀さん夫婦の子
アメリカで代理出産により誕生)が、最高裁の判決により、
親子関係を認められなかった、と言うものです。

最高裁の決定ですから、ご夫婦にはこれ以上申し立てが
出来ず、出生届の不受理が成立してしまいました。

それ以前の経過は、
まず子が誕生の際に、品川区役所が出生届を拒否、
夫婦は不服申し立てをし、家裁では申し立て却下、控訴、
高裁では一審取り消しの、出生届の受理を指示、
今度は品川区役所が控訴し、今回の判定となりました。

なぜこんなに判決が二転三転するのでしょうか。
それは日本の民法では、夫婦の子を他の女性が出産する
などということが想定されていないからです。
ご夫婦のお子さんは、生物学的に言えば、間違いなく、
実子でしょう。しかし、日本の民法(明治時代の制定)では、
「産んだ女性が母親」と定められているのです。

代理出産は日本では認められていません。
しかし、他国では認められているところもあり、
(今回で言えばアメリカ)
代理出産で生まれた日本人は200人を超すと言われて
います。その殆どが、現地で妻が出産したことにして、
出生届を出すそうです。
向井さんの場合は、公表してしまっているので、区役所が
受理をしなかったわけです。

ご夫婦にとっては非常に残念な判決でしょうが、着目すべき
項目もあります。

それは判決の中で、
「遺伝子的なつながりのある子を持ちたいという真摯な希望と、
他の女性に出産を依頼することについての社会一般の倫理的
感情を踏まえ、立法による速やかな対応が強く望まれる」
という一文にあります。

これは最高裁が国会に対し、法整備を急ぐように注文をつけた
異例の措置と言えます。


代理出産にはいろいろ是非があるでしょう。
技術的にはすでに可能であるのですから、
倫理的な問題だと思うのです。

他人の女性の子宮を使ってまで、子を作る必要があるのか?
ビジネスとして成立してしまうのではないか?実際今回のケースも、
ご夫婦はネバダ州の業者を通じ、1500万円ものお金を使って
います。
代理出産を依頼し、産んだ女性が、母親の権利を主張したらどうする
のか? 10ヵ月もの間、自分の肉体の一部として成長する生命に、
情が移ってもおかしくはないでしょう。
今の日本の法律ではこれが認められます。

まだまだたくさんの問題を孕んだ代理出産ですが、
周知の事実となっているのは明白です。
即座に法改正に向かって、国会は動くべきです。
他人の失言の揚足取りなんぞしている暇があったら、すぐにでも
取り組んで欲しいと思います。これだって少子化対策ではないですか。


そして、代理出産にどれだけの問題があったとしても
生まれてきた子供にはなんの関係もありません。
生まれてきた子は、両親の愛情をいっぱい受け、人類全ての宝として
扱われなければなりません。

向井さん夫婦は、代理出産を公表したために、非常に多くのデメリット
を受けています。正直言って、私にはこういう子供の作り方が、良い
のか、悪いのかなど、まったく分かりません。
しかし、実際に生まれてきた子供に社会的ハンディーがつくのは
間違っています。ご夫婦にはこれからいろいろと批判が向けられるの
でしょうが、負けないで欲しい。

最初に聞いた時に、すごく不快に思った向井さんの言葉が、
今は違って聞こえるのです。

「私は、なにがなんでも、高田延彦の遺伝子を残したいんです…」