yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

ヴァイオリン ドタバタ劇 その4 最終章

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4



雨の日の夕方…、
仕事から帰った私は、ばらばらになったヴァイオリンの入ったケース
を片手に、横浜駅西口の楽器店に赴いたのでした。

平日、しかも雨の日の夕方とあってお客さんはまばら…。
奥の方からヴァイオリンの音が…??  いやヴァイオリンじゃない…。
胡弓だ…。 
初めて聞く呼吸の音…。 素晴らしいです…。 欲しい…。(って、あのね…)

弾いていたのは年配の店員さん。 もっと聞きたかったけど、
ヴァイオリンをなんとかしてもらわにゃなりませんので、呼んで、
カクカクシカジカと事の顛末を話して、ヴァイオリンを見てもらいました。

さぞかし呆れられるかと思いきや、店員さん、別段驚く様子もなく、
「すぐ直してしまいましょう。ちょっとお待ちください」
との事。 な…なんと頼もしきお言葉か!!


店員さんが修理をしているのを、見ながら、分かった事がありました。

ヴァイオリンは4本の弦がありますが、片方の端はペグ(糸巻き)に
巻かれており、山型をして駒と呼ばれる板に乗せられ、もう片方の
端は、ブリッジに固定されています。
(写真の白いのが駒、黒いのブリッジ)

ギターではこのブリッジが、ボディーに固定され、一本の弦の音を
変えても他の現に影響はしません。
しかしヴァイオリンは、ブリッジがさらにビニールひものようなもので、
ボディのエンドピンに固定されており、ブリッジ自体は宙に浮いている
のです。 ですから、一本の弦の音を変えると、4本全体の張力が
変わり、他の弦の音程も変わってしまうのでした。

私のヴァイオリンは、このビニールひものようなものが切れて、
ブリッジから、駒から、みんな取れてしまったと言う訳です。

ビニールひもを新しいのに変えると、慎重に駒を立て、
これで弦を張れば終わり、というところなんですが、なにやら店員さん、
納得がいかぬ様子??

いきなりコンパス(懐かしい!)を取り出してなにやら測っております。
店員さんが気に入らなさそうなのは、どうやら駒のようであります。

「弦が等間隔になってませんね。 良い機会ですから直してしまいましょう」

は?? 弦の間隔ですか?
そんなの見ただけで分かっちゃうんですか?

そして店員さん、駒を私に見せると、駒に彫られた溝(弦が乗るための)
が等間隔でないこと、駒自体の形が少し平ら過ぎて、弾きにくそうである事
などを説明してくれました。

さすがは店員さん!! 恐るべし!!
いや、たった今からあなたをプロフェッサーと呼ばせてください!!

さっそくプロフェッサーは、駒をヤスリにかけ、何回もコンパスを当てては、
小さな溝を彫ってゆきます。 細かい作業です。 老眼の私にはムリです…。
作業しながらプロフェッサーが教えてくれたことなのですが、
このヴァイオリンは中国産で、安価な割には良い製品なのだが、
こういう細かいところになると、すこし雑に出来ているそうなのです。

さすがはプロフェッサー、妥協がありませんな…。

時間は掛かりましたが、私のヴァイオリンはパワーアップして
甦ったのであります!!

(●⌒∇⌒●) わーい
(●⌒∇⌒●) わーい

そこで、プロフェッサー! もうひとつ教えてください!!

「初心者なので、調弦ができないんですが、なにかコツがありますか?」
「ヴァイオリンの調弦はむずかしいですね。
まず、糸巻きで全体的に大雑把にやってみてください。そのあとアジャスター
(ブリッジにある微調整)であわせます。これを何回か繰り返してください」

そう言いながらプロフェっサーは自分の腹の上にヴァイオリンを立てると、
音叉でA(ラの音)を取り、二弦をあわせると次々とあわせていきます。
4本の弦の音感が頭に入っているので、できるのでしょう。 しかしながら、
この楽器のプロをもってしても、ギターのようにすんなりとはいきません。

私は一弦一弦にこだわり過ぎていたのです。全体に、何回もあわせる。
これがヴァイオリンでの調弦のコツのようです。

何回も弦を弾き、ペグを回し、アジャスターを回し、ようやく調弦
終わりました。

「はいできました」

ようやく楽器となったヴァイオリンが、私の手に戻りました。




一刻も早くヴァイオリンを弾きたい私は、駅からタクシーを使うという
贅沢三昧をし(雨も降っていたし…)帰宅しました。

弦を指で弾いてみます。
ソ、レ、ラ、ミ…。 開放弦の音…。 これを覚えてしまえば調弦
楽にできるはず…。

弓を張り、松脂を塗りつけ、ヴァイオリンを肩とあごの間に挟みます。
両手を放してもヴァイオリンが落ちないようにするのですが、
まだうまくいきません。

G線を弾いて見ます。 おそろしく汚いソの音が出ました。
そこからたどって、ようやく出たドの音…。
基本中の基本の音、始まりの音… ド…。

そこから時間の経つのも忘れて、私は騒音を発しまくって
いました。 一時間以上も時間をかけて私ができたのは…、

おそろしく不安定な音程の、

ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド

でも…、
できた!!!
うれしい!!!!!!!
めちゃんこ、うれしい!!!!
(●⌒∇⌒●) わーい 
(●⌒∇⌒●) わーい


思い出したことがあります。
30年以上も前、
壊れたペグ、さびついて切れそうな弦、ところどころヒビ割れ、
穴すらあいていたおんぼろのギターで練習した、
ドレミファソラシド…。

あん時もうれしかったなぁ。

今、結構高価なギターを持ち、中級レベルくらいの曲に挑戦できる
ようになったのも、全てはあの日から始まったのです。


「初心、忘れるべからず」


生まれて初めて、この言葉の本当の重みが分かりました。

ヴァイオリンと言う楽器、ギターよりも手強そうです…。
でも、ギターが与えてくれた数々の感動を、ヴァイオリンでも
感じたい…。
たった三日でこれだけの騒動になったのですから、(爆)
まだまだ何かありそうです。

でもがんばるぞ!
自分で感動するだけでなく、いつかは人を感動させる演奏を!
V(。・ω・。)ィェィ♪