yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

ジミ・ヘンドリックスについて

 最近、チャットルームでたまたまジミ・ヘンドリックスの曲がかかる事がありました。
ずいぶん聞いてなかったので、新鮮でした。最初に聞いたのはかれこれ三十年近くも
昔の話しでしょうか。当時高校生だった自分は、リッチー・ブラックモアと言うギタリスト
に傾倒しており、バイトでやっとこさ手に入れたストラトモデル(ギターの種類)で、
一生懸命ディープ・パープルやレインボーといったバンドの曲を練習していました。
 ジミ・ヘンも知ってはいましたが、リッチーとは全く演奏スタイルが違うのであまり
興味はありませんでした。それにジミ・ヘンはギターのチューニングを半音下げているので
いちいちチューニングを変えるのが面倒なのです。ギターをやる人ならご存知と思いますが、
ストラトキャスターと言うギターは非常にチューニングが合わせ辛いギターで、尚更面倒
なのです。
 それがあるときひょんな事からジミのライヴアルバムを聞いたのです。ジミヘンは基本的に
三人で演奏することが多いです。ドラムとベースはリズム体ですから、そんないろいろ出来る
訳はありません。(クリームみたいな例外はありますが…)音に変化をもたせるにはギター
しかありません。しかもジミはヴォーカルもしますから、自然に制約が出てきます。歌いながら
ギターソロは出来ないだろうし、と自分が出来ないものだから、そう思っていたのですが、
この人は伴奏だとかソロだとかって区別はあまりないようです。
 対して当時自分のアイドルだったリッチーはバッキングとソロはきっちりと弾き分けてました。
リッチーのバンドには必ずキーボードもいて、アレンジなんかもかなりきっちりしてました。
でもジミはテキトーなのです。コード(和音)をテキトーに分解してメロディーらしいものと
まぜて、切々と弾いたかと思うと、いきなり大音響のソロを入れたり、チョーキングと言って、
ギターの弦を押さえたまま押し上げると(弦が引っ張られて)音程が上がります。普通は一音
からせいぜい二音程度ですが、(一音でドからレ程度、二音でドからミ程度)ジミヘンは三音半
とかやるのです。音程で言うとドから下手するとソぐらいまでいきます。アームもめいっぱい
使いますから、当然ギターのチューニングなんかかなり狂っているはずですが、ちゃんとした
音が出てる。ギターの技術面では、ジミよりもリッチーの方がはるかに高度なテクニックを使って
いますが、ジミの方が弾きにくい。
 アルバムを聞いているうちにこの妙なスタイルで、しかも歌まで歌ってしまうこの人に、
戦慄を覚えたものでした。それとジミはサウスポーです。しかし彼が使ってるのは右利き用の
ギターです。右利き用のギターに弦を逆に張っているのです。ギターというのは繊細な楽器です。
わざわざ左利き用のギターってのがあるくらいですから、セッティングだって右利き用と左利き
用では違うのです。そんな事するとローポジションではあってた音がハイポジションになると
あわないとかって事になるのですが、やっぱり出てる音はちゃんとあってる…。

うまいとか、下手だとか、音楽性がどうだとかって言う前に、私はジミ・ヘンドリックス
「不思議なギタリスト」と思って聞いていたのでした。ものすごく乱暴な意見ですが、今時
流行の「ソロギター」(押尾コータローとか)の先取りみたいな演奏だったかもと、たった
今考えました。この人、まだいろいろ変わったところがあるのですが、それはまたの機会に…。