yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

千住真理子 ヴァイオリンリサイタル エンディング


さてさて、休憩の後の後半であります!

前半と同じく、千住さん、マイクを持って登場。
後半の曲を解説してくれます。

後半は、ヒット曲、
・・・
じゃなかった、名曲のオンパレード!!

もう、エルガー「愛の挨拶」から始まり、
クライスラー「愛の喜び」、「愛の悲しみ」
怒濤の愛三部作!!(あ、そんなん、ありませんので、念のため…)

荒川静香さんでお馴染みの、プッチーニ誰も寝てはならぬ
ドヴォルザーク「スラブ舞曲 第二番」

そして、そして、ヴァイオリン独奏曲の、名曲中の名曲、
「タイスの瞑想曲」
なんと、この曲は、もともと歌劇の間奏曲だったと、
千住さんの解説がありました。


でもって、コンサートの最後を飾るに相応しい曲の解説。
その中でのちょっと、こぼれ話…。

「この曲は、中間部分で、作曲者が小さい音で弾くように、
 指定してるんですね。 これはミュートというものを使います。」

ミュートというのはヴァイオリンの駒の上に被せ、弦の振動を
押さえて、減音させる小さい道具です。

「この指定が終わって、ミュートをはずすんですけど、
 時間がないので、私は、そのまま下に落しちゃうんですね。
 
 でも…、お客様はみんな親切で…、
 落ちた、落ちた、って教えて下さるんですよ…」

ここで、場内大爆笑。

「ですけど、わざとですから、今日はどうかご安心して、
 聞いて下さいね」

ここで大拍手。

更には、

「この曲は、聞きどころがいっぱいなんですよ。
 どうぞ楽しんでくださいね。
 
 でも、やる方は・・・大変なんですよ…」

またしてもバカ受け!!
なんて楽しいトークでしょうか♪



再びデュランティーを手に、舞台に戻った千住さんは、
上記のヒット曲、じゃなくて、名曲を次々と熱演しました。

かぁ~~~~!! たまんね~~~~!!


時おり、ピアノの上においたハンカチで、
額の汗をぬぐう千住さん。

前半と同じく、あっと言う間に時間が過ぎます。

そして…、

そして…、

「タイスの瞑想曲」が終了し、嵐のような拍手の後、
千住さんはチューニングに余念がありません。

客席に向き、デュランティーをあごにはさみます。
その時、私は気付いたのです。
千住さんは、肩当てを使ってない。
肩当てを使った方がヴァイオリンは安定すると思うのですが…。


つい先日、聞いたことがあります。
女性ヴァイオリニストが、何故、肩や鎖骨のあたりを
露出させているのか…。
それは、楽器の音を、肩、あご、鎖骨などの骨を通じて、
全身で鳴らすためなのだとか…。
自分自身の肉体をも媒体にして鳴らすのだと…。

千住さんもそうなのでしょうか?
私は勝手にそう判断していますが…。


いよいよコンサート、最後の曲…。

ピアノのイントロが聞こえた途端に、私の昂奮は最高潮に達しました。


キタ━━━ヽ(≧∀≦)ノ━━━ !!!!!






ツィゴイゼルワイゼン!!!


ピアノのメロディーをなぞり、そして究極の早弾き!!
更には、憂愁を帯びた旋律が切々と歌います…。

ピアノとの絶妙の間、時おり入るピチカート。

中間部で、千住さんは、ミュートをセットしました。
メランコリックなメロディーが、静かに綴られます。

もうすぐ…、もうすぐ…、
嵐の前の静けさが少しずつ、少しずつ、過ぎて行きます。

そして、
お約束どおり、千住さんが床にミュートを投げた瞬間から、
ピアノが吼えた!!

堰を切ったように、飛び出すフレーズの数々!!
ヴァイオリンに使われる、ほとんど全てのテクニックを網羅した
戦慄の超絶技法!!!

16分音符の波状攻撃! 見えるはずのない音が、
閃光の如くに飛び散るような錯覚を私は覚えました。

千住さんは、口元をきりっと結び、かなり前かがみになって、
まるでデュランティーを抱え込むように、高速ボウイングをする。
どれほど速く弓を動かそうとも、すこしもぶれはない。
目指す弦のたった一点だけを、確実に通過する。

これぞまさしく、プロの技!!
30年以上、鍛え上げられたプロフェッショナルの技!!

スピード、スリル、アタック!!!

ロックギターに勝るとも劣らぬ迫力。

左指は短い指板を走り回り、時おり、弦をはじく。

音楽は勿論、
千住さんの操る、弓も、指も、全てが芸術であり、
奇跡でした。

フィナーレ、
最後の音を待つ前に、私たちは力の限りに手を叩いて
おりました。

千住さんは片手をピアノにつき、ふうっと息をつくと、
満面の笑みを浮かべ、観客に挨拶をしました。



アンコールは、ドビュッシーの「月の光」、
フォーレの「夢のあとに」、

これで、本当に終わりです。

鳴りやまない拍手の中、なんと千住さん、
ツィゴイゼルワイゼンの時に、なげたミュートを拾い上げると、
客席に向かって、ニコっと笑いました。

またしても、場内、大爆笑と大拍手!!
もう、なんてサービス旺盛の人でしょうか。


今日、この会場に駆けつけた人を全員幸せにしてくださいました。
千住真理子さん、 ありがとう♪