yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

女王降臨 その三

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観客席、最前列から巻き起こった拍手は、
サントリーホール全体を覆い尽くし、
どよめきをもって最高潮に達しました。

その中に現れた女王、
アンネ=ゾフィー・ムター

肩までのブロンド、
エメラルドブルーのドレス。
一部の隙もなく、肉体に張り付いたドレスですが、
あり余るほどの富と名声を受けた、
45歳の女性が、これほどの美を保てるのかと、
思わせるほどの素晴らしいプロポーション

そして、
左手にもっているのは・・・、
1703年製、ストラディヴァリウス 「エミリアーニ」
でしょうか・・・。


ムターは、ゆっくりと舞台中央まで歩み寄ると、
軽く礼をし、楽器を構えると、あっけないほどに曲は始まりました。

バッハ作曲、ヴァイオリン協奏曲 第二番 ホ長調 作品番号1042

このアンサンブルに、指揮棒を振る指揮者はいません。
舞台中央に立つ、ムターが指揮者なのです。
バックのトロンハイム・ソロイスツは、ムターの体の動きや、
弓の上げ下ろしで、演奏を行います。

ムターの紡ぎ出す、バッハ特有の流れるような旋律に、
各メンバーの音が絡みついていく。
軽快なるアレグロ(快活なテンポの意)の第一楽章に続き、
しっとりと聞かせてくれる第二楽章。
第三楽章には、更にアンサンブルの豊かさを高めた後、
20分近く続いたはずの演奏が、あっと言う間に終わってしまいました。

気が付けば、すでに一時間近くが経っているのに、
まったく時間を感じさせない。
休憩を挟み、後半。


後半の楽曲は、アントニオ・ヴィヴァルディー作曲、
ヴァイオリン協奏曲集「四季」であります。
有名な曲ではありますが、演奏難易度の高いところも
あちこちにあり、ソリストとしては腕の見せどころでもあります。

今回のコンサートに備え、私はムターとトロンハイム・ソロイスツ
の「四季」のCDを何度となく聞いてきました。
素晴らしいCDなのですが、やっぱり生の演奏の前には、
足元にも及ばない事を痛切に感じました。

春、夏、秋、冬と、各第三楽章を持つこの曲集は、
演奏時間が40分を有に超えます。
しかし、こちらも、あっと言う間の出来事でした。
もう、あまりの素晴らしさに、驚愕と溜息。


冬の第三楽章が終わった途端に、
嵐の拍手。
「ブラボー!!」
の掛け声。


アンコールは再び「四季」より、
夏の第三楽章
冬の第二楽章

そしてラスト・・・、
弦楽四重奏・・・、

G線上のアリア

素晴らしすぎる・・・。
どんなに言葉を紡ごうと、表しきれない。

コンサートは終わりました。
でも、なぜか、記事は続きます・・・。



一部、曲が聞けます。↓

バッハ ヴァイオリン協奏曲 第二番 第一楽章↓
http://jp.youtube.com/watch?v=32L8HkrdMC4

ヴィヴァルディー ヴァイオリン協奏曲集「四季」より「春」
http://jp.youtube.com/watch?v=rbeunUDAUuI


続く