yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

ギターリサイタル その二


開演時間の7時になりました。
しかし、遅れてきた人が、
係員に誘導されて着席している様子が、まだ見えます。

ざわついていた場内に、にわかに緊張感が走り、
今や遅しと、ギタージャイアントの登場を待ちます。

客席の明かりが静かに落ちていきます。
ステージにあるのは、演奏用の椅子が一脚と、
ギターを安定させるための踏み台だけ・・・。
スポットライトを浴びて、浮き上がっているように見えました。


ステージ左手の扉が開くと、
長身の外国人が、ギターを抱えて、入ってきました。
ローラン・ディアンス登場!!

場内から割れんばかりの拍手が沸き起こったのは
言うまでもありません。

ディアンスさんは、会場を見渡すと、何度も頷きました。
やがて椅子に座り、左足を踏み台に乗せると、
ギターを構えます。
しかし、踏み台を取り上げると、もう一度踏みなおします。
再び、ギターを構えます・・・。

弾きだすか? と思いきや、手のひらを結んだり開いたり・・・。

こんな超大物でも緊張感があるのでしょうか・・・。
いや、プロだからこそ、最初の一音に集中しているのでしょうか・・・。


再び構えたディアンスさんが、ギターを爪弾きだしました。


なんという美しい音なのか・・・。

右手も左手も、柔らかく、美しく動いているように見えました。
これぞ、まさしく、プロの仕事かぁ・・・。

ん~~・・・、なんかこの人の印象とちがうなぁ・・・。
もっと、硬い音で、テクニックを見せびらかす演奏なのかと
思っておりました。

いえ、それは期待はずれではなく、
幅広い音楽性の一面を見せられた、喜ばしいことであります。


ハーモニックス(倍音)を多様する演奏は、独特です。
一曲目、二曲目、知らない曲ではありましたが、
完全に堪能できました。


なにせ、この人のコンサートはプログラムがありません。
前もって、聞き込むということができないのです。
では、知らない曲ばかりで楽しめないか?
そんな事はない。 
高度な演奏力と、音楽性の高さに、聞き惚れるしかないのです。

私はオペラグラスを持参しておりました。
最初の一曲、二曲、当りは、これで見ておりました。
でも、上手いの、下手なのって次元で捉えているのは、
馬鹿馬鹿しい事だと思いました。

指の動きなど、どうでも良い。
ディアンスさんの発生している良質な音楽を受け取る方が大事。

聞くことに徹したほうが、豊かな満足感を得られる。

むむむ・・・。

恐るべし。


一曲、終るたびに、ディアンスさんは立ち上がり、
ステージの袖まで来て、次の曲に関しての解説をしてくださいました。
英語で言ってくださいましたが、ばーぷーな私には分かりません。

でもま、次の曲は、非常に有名な作曲の作った曲で、うんうぬん・・・
のようなことまでは分かりました。

そうしては演奏位置にもどると、再びギターを構え、
信じられないような、音色で、私たち、の心を魅了するのでした。


あっと言う間に、前半が終了。
自分の腕時計を覗くと、すでに7時45分でした・・・。
素晴らしい音楽の前に、我々、観客の時間は止ってしまっていました。

続く