「インビジブルレイン」 誉田哲也
ドラマが大いに当たった「ストロベリーナイト」であるが、
これによって竹内結子さんのハマリ役となったのが、
姫川玲子である。
警視庁捜査一課捜査班第十係主任として、「姫川班」を
率いて活躍する。高校生の時に強姦された経験を持ち、
この時、彼女の心の支えともなった婦警が、犯人逮捕の際、
殉職した事から、警察官になる事を決意する。
単発の特別ドラマとして放送され、その後連続ドラマとなり、
映画化されている。タイトルこそ「ストロベリーナイト」であるが、
原作はこの「インビジブルレイン」だ。
ストロベリーナイトに関してはこちら。
あるが下っ端だ。とは言え、組員であることから、
組織犯罪対策部と、捜査一課が合同捜査に当たる事になる。
だが違う組織の、違う体質ではかみ合わない。なんとか相手に
出し抜かれないようにと、メンツが先走る事になる。
そんな中で、姫川と日下(日下班主任、姫川とは犬猿の仲)
に今泉係長から命令が下る。
捜査線上に「柳井健斗」と言う人物が浮かんでも捜査するな、
と言うものであった。姫川は納得できないが、今泉や、和田警視正の
首に関わると言われて沈黙せざるを得なかった。
柳井健斗は過去の事件の被害者遺族である。彼の関わった事件で、
警視庁は不祥事を犯している。その不祥事を蒸し返されたくない
キャリアが、隠蔽しようとしているのだ。
しかし、姫川は単独で捜査に入り、柳井健斗を探し続けた。
そんな中で出会ったのが…。
現実世界でもキャリアの保身は良く聞かれる。キャリアに手柄は
要らない。失敗さえしなければ良い。余計な事はしなければ、
出世は自動的に出来るのだ。正義感など必要ない。
官僚が「前例が無い」、と言って革新的な事に手を染めないのは
この為だ。
しかし警察権力がこんなことではいけない。組織の力によって
押さえつけられた今泉と和田は、姫川の捜査によって腹を括っていく。
ストーリーは姫川の禁断の恋から、圧巻のラストへと連なる。
姫川の恋の相手と言えば、菊田を思い浮かべる人は多いだろう。
違うとだけ言っておく。
映画ではどんな演出になっているか。見てみたい気がしてきた。