yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

#読書

「ようこそ、わが家へ」 池井戸順

「ようこそ、わが家へ」 池井戸潤 小学館文庫 身近に潜む恐怖と言うものがある。例えば痴漢の冤罪。一時話題になった事がある。痴漢と言えば当然卑劣な行為であり、被害女性に同情が行くのがごく当たり前の事だ。以前は女性が申し出れば簡単に犯人にされてし…

「下町ロケット」 池井戸潤

「下町ロケット」 池井戸潤 小学館文庫 以前から楽しみにしていた本の一つだ。ドラマ「半沢直樹」でその名に注目、江戸川乱歩賞受賞や、吉川英治文学新人賞受賞、直木賞受賞などの輝かしい実績を誇る作家、池井戸潤。その直木賞受賞作品が本作であり、書店で…

「架空通貨」 池井戸順

「架空通貨」 池井戸潤 講談社文庫 本作は、著者が江戸川乱歩賞受賞後の第一作だと言う。受賞作は「果てつる底なき」であった。この作品は同僚の死に不審を抱いた銀行マンが、銀行の暗部に立ち向かっていくと言うストーリーである。これについては本ブログで…

「果つる底なき」 池井戸順 講談社文庫

「果つる底なき」 池井戸順 講談社文庫 私が会社の同僚から、「面白いドラマが始まった」と聞かされたのは 大分前の事である。どんなドラマなのか問うと、舞台は銀行で、ある 銀行員が、だまし取られた融資5億円を回収するドラマだと言う。 面白そうだとは…

「さよならドビュッシー」 中山七里

「さよならドビュッシー」 中山七里 宝島社 クロード・ドビュッシーはフランスの作曲家である。 なんて、偉そうに言う程、私はドビュッシーを知らないのだけど…。 ま、とりあえず、「月の光」くらいは知っている。 最初にちゃんと聞いたのは「牧神の午後への…

「インビジブルレイン」 誉田哲也

「インビジブルレイン」 誉田哲也 光文社文庫 ドラマが大いに当たった「ストロベリーナイト」であるが、 これによって竹内結子さんのハマリ役となったのが、 姫川玲子である。 警視庁捜査一課捜査班第十係主任として、「姫川班」を 率いて活躍する。高校生の…

「アカペラ」 山本文緒

「アカペラ」 山本文緒 新潮文庫 山本文緒さんの名を見たのは久しぶりであった。 野生時代という雑誌に、日記のような連載があった。 その連載がいつの間にかなくなり、後で病気になったと聞いた。 私は山本さんの綺麗事ではない恋愛小説が好きである。 記憶…

「アミダサマ」 沼田まほかる

「アミダサマ」 沼田まほかる 新潮文庫 表紙の絵が不気味である。 おかっぱ頭の、かわいい洋服を着た女の子だ。 逆光に晒されているのか、自らが発光しているのか分からないが、 まるでこれからその光に隠れて消え行ってしまいそうな印象がある。 そしてこの…

「痺れる」 沼田まほかる 光文社文庫

「痺れる」 沼田まほかる 光文社文庫 本の帯にはこう書かれている。 一度ハマればもう抜けられない まほかるワールドへようこそ 怖さも面白さも尋常じゃない九つの物語 もう、無条件に購入した。ついに短編だ。 作家の力量というのは短編に現れると言う。 限…

「九月が永遠に続けば」 沼田まほかる

「九月が永遠に続けば」 沼田まほかる 新潮社文庫 聖書と言う本がある。 誰もが知っているキリスト教の聖典である。 宗教の自由を保障されながら、宗教に対する依存度の低い日本には ちょっと馴染みのない本でもある。 ウチにも一冊ある。自分で購入したもの…

「彼女がその名を知らない鳥たち」 沼田まほかる

「彼女がその名を知らない鳥たち」 沼田まほかる 幻冬舎文庫 この著者の作品は二作目である。 一作目は「猫鳴り」であった。 http://blogs.yahoo.co.jp/tyler1961_0523/51796777.html 猫の事を扱っているから、そちらばかりに気を取られていたが、 ふと感じ…

「サイレント・ブラッド」 北林一光

「サイレント・ブラッド」 北林一光 角川文庫 この著者の作品は二作目である。 「ファントム・ピークス」に続いてだ。 舞台が長野県であることで、続編なのかと期待したが、 そうではなかった。 「ファントム・ピークス」の、あの興奮をもう一度、 と思った…

「ファントム・ピークス」 北林一光

「ファントム・ピークス」 北林一光 角川文庫 本の帯には「宮部みゆき氏 絶賛」と書かれていた。 これに心を動かされて、手に取ってみた。 舞台は長野県の安曇野。 三井周平の妻はこの地で行方不明になった。 その半年後に遭難地とは離れた場所で妻の頭蓋骨…

プリンセス・トヨトミ

「プリンセス・トヨトミ」 万城目学 文春文庫 面白い作品だと思った。 まさにエンターテイメントの真骨頂と言えるのだが、 誰も死なない。殺人はない。過激な暴力描写もない。 セックス描写もない。男女のロマンスもない。 だいたい、エンタ-テイメント作品…

「猫鳴り」 沼田まほかる

「猫鳴り」 沼田まほかる 双葉文庫 猫鳴りとはなんだ? 猫と暮らす私にとって、それは単純な疑問だった。 本の帯にその答えがあった。小説に登場する人物が、 猫の背などをなでてやるとゴロゴロと喉を鳴らすのを 勝手に名付けたものだった。 なるほどと納得…

「ジェネラル・ルージュの凱旋」 海堂猛

「ジェネラル・ルージュの凱旋」 海堂尊 正月の暇にまかせて一気に読んだ感がある。 本作は、「このミステリーがすごい大賞」受賞作である、 「チームバチスタの栄光」の続編、正確に言えば、その間に 「ナイチンゲールの沈黙」があるが、なんとこれらは同…

「さまよう刃」 東野圭吾

「さまよう刃」 東野圭吾 角川文庫 東野圭吾さんは、今や、押しも押されもせぬベストセラー作家である。 本は売れにうれまくり、書店での平積みは数多い。 作品は次から次へと映画化、あるいはドラマ化され、 その作品はいろいろな分野で愉しまれている。 私…

「ガール」 奥田英郎

「ガール」 奥田英郎 講談社文庫 直木賞の受賞をもってこの人の存在を知った私は、 「空中ブランコ」を読んでみた。 これが直木賞?? こんなやわらかい直木賞もあり? 以来、私は伊良部先生のファンであり、 看護師、マユミちゃんの大ファンである。 内容は…

「ジウ Ⅰ~Ⅲ」 誉田哲也

「ジウ Ⅰ~Ⅲ」 誉田哲也 中公文庫 「ストロベリーナイト」で味をしめた私が、 この大長編に手を染めたのは言うまでもない。 一冊約400ページ、三冊で1200ページ。 大変な長編作品であるが、時間が許すなら一気に読破するだろう。 序章に、営利誘拐事…

「ストロベリーナイト」 誉田哲也 光文社文庫

「ストロベリーナイト」 誉田哲也 光文社文庫 書店で、平積みされていた一冊をたまたま手に取った。 著者は知らない。 カバーは薄暗いが、タイトルは可愛らしい。 読み進むうちにこのタイトルの意味を知るにつけ、愕然となる。 冒頭、「僕」が解放される様は…

「乳と卵」川上未映子

「乳と卵」川上未映子 第138回 芥川賞受賞作 一月に138回芥川賞の発表があった。 受賞は川上未映子さんの「乳と卵」であった。 川上さんは、美人である。 しかもシンガーソングライターだと言うのだ。 当然、各メディアでの露出度も多くなろうが、 週…

「マエストロ」 篠田節子

「マエストロ」 篠田節子 角川文庫 先月からヴァイオリンをやり始めた。とは言え、先生にもつかず、 独学で覚えられるほどのシロモノではなく、日々悪戦苦闘している。 そんな中で、久方ぶりに読んだのが本書である。 主人公は美人ヴァイオリニスト、腕は一…

藤原伊織さん…逝く

今朝の新聞で見た。 藤原伊織さんの訃報である。 私は藤原さんの作品は「テロリストのパラソル」しか知らない。 しかし、私はその一作で、完全に虜になり、要チェックの作家になった。 ハードボイルド作家という分類が、果たして適切かどうかはさておき、 私…

「輪違屋 糸里」 浅田次郎

「輪違屋糸里 上 下」 浅田次郎 文春文庫 新撰組と言うと、歴史の仇花として、敗者の美学を論ぜられる事が 多い。確かに、江戸300年の歴史の中で、形骸化してしまった武士道 を貫き通し、京から北の果てまで戦った戦闘集団として、人気がある。 歴史を作…

「クラッシュ」 馳星周

「クラッシュ」 馳星周 徳間文庫 「本の事など」を更新したのはいつ以来かと、 おそるおそる見てみると、なんと3月29日が最新だった。 なんと、 先月は一冊も本を読まなかったという事になる。 マズイぞ…。 もうちょっと一生懸命読まねば…。 (^_^;) 一時…

「アルゼンチンババア」よしもとばなな

「アルゼンチンババア」 よしもとばなな 幻冬舎文庫 絵 奈良 美智 昨日、買い物に行ったついでに、ふらりと本屋に寄った。 寄る前は買うつもりなどなくても、たいていは買ってしまう。 ま、給料日前だから良いかと、気楽に構えて、あちこちを見て回った。 文…

「ツ、イ、ラ、ク」姫野カオルコ

「ツ、イ、ラ、ク」 姫野カオルコ 角川文庫 恋愛小説の人気アンケートを取ると、必ず上位に入る作品だと聞いた。 先日、文庫本として発売されていたので早速購入して読んでみた。 最初に登場するのは小学校三年生の子供たちである。 森本隼子をはじめとする…

「眠れるラプンツェル」山本文緒

「眠れるラプンツェル」 山本文緒 角川文庫 野生時代に連載されていた、山本文緒さんの「告白日記」が終了してしまった。 鬱を病んだ文緒さんが、文字通り日記として記していたものである。 しばらく休んでいて、復活したと思ったら終わってしまった。 まだ…

「ぼくは痴漢じゃない!」鈴木健夫

「僕は痴漢じゃない!―冤罪事件643日の記録」 鈴木健夫 新潮文庫 周防正行監督の「それでも僕はやっていない」という映画がある。 たまたま周防監督がラジオに出演し、映画製作に関わるあれこれ を話していたのを聞いた。 「それでも僕はやっていない」は…

「天窓のある家」篠田節子

「天窓のある家」 篠田節子 新潮文庫 久し振りに篠田節子さんの作品を読んだ。 一時ハマりまくってしまったことがある。ハズレなしの安心買いであった。 SFあり、ミステリーあり、恋愛あり、コメディーあり、多彩なる作品群が あるのに、どれも面白い。ま…