yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

プリンセス・トヨトミ

 
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面白い作品だと思った。
まさにエンターテイメントの真骨頂と言えるのだが、
誰も死なない。殺人はない。過激な暴力描写もない。
セックス描写もない。男女のロマンスもない。
だいたい、エンタ-テイメント作品においてこれらは必要不可欠
であるが、それらを全く使わず、それでも大事件が勃発する。
 
三人の会計検査員の登場によって物語は始まる。
会計検査員とは、内閣から独立し、国の各種機関の収入支出が
適切に行われているか検査する人たちのことである。
この個性豊かな三人、鬼の松平を筆頭に、スリムで長身で、
外人にしか見えない飛び切りの美人、旭ゲーンズブール、
これと反対でチビでデブながら、要所要所でちょっとした活躍を見せる
ラクル鳥居。
この三人が大阪府に乗り込んできた。
 
一方、性同一性障害に悩む中学生の大輔は
幼馴染の茶子を伴い、一大決心でセーラー服登校をする。
中学校は大騒ぎになった。
 
 
この二つの始まりは、大阪城を共通項として大掛かりな事件
として発展する。
大阪城の地下には秘密があった。それは400年続いている。
それは「ありえねぇ!」と言うものである。いくらエンターテイメント
だからと言ってリアリティーが無さすぎる、と思う。
ところが終盤になってくると、許しちゃうのである。
驚天動地のとんでもない展開だが、恐ろしくヒューマニズム
あふれている。
 
 
ネタバレになるので詳しいことを言えないのが残念なのだが、
大阪人気質というか、関西人気質と言うものが作品のあちこち
に感じられる。
先に作品を読んだ友人がこんなことを言っていた。
「これってなんか、阪神タイガースファンに通じるものがあると思うんですよね」
なるほどなるほど…。それも一理あるかも。
 
 
もう一つ気付いたことがあった。
この作品に悪党はいない。
厳密に言えば、大輔をいじめる不良中学生がいるが、
大局的な流れの中で、所謂、悪役は存在しない。
正論が正義ではない。
そして、法律や正義や正論のために人は存在しない。
人のためにそれらは存在しなければならない。
現実は逆である。
 
楽しめる作品だと思います。