アンプラグド その一

　オフ会に啓発されてでしょうか、
「うむ、なにかクラシックのＣＤを購入しよう」
　と思い立ちました。

　そんな訳で、石丸電気に立ち寄りました。確か、ポイントカードに九千円
くらい貯まっている筈でしたので。
　で、クラシックコーナーをうろうろしていたのですが、無知な私には、これ
ぞ欲しいＣＤと言うのが見つかりません。いつも出たとこ勝負の、計画性の
無い私のやることでした…。
　ま、気分転換と言うか、逃避行と言うか、計画倒れの無責任倒産と言うか、
洋楽のコーナーをうろうろと…。

　エリック・クラプトンの棚が視線の端に入ったときに、「やばっ」と思いまし
たが時すでに遅し…。気付いたときに私は、「アンプラグド」をレジに持って
行ったのでした。

　私がギターを始めたのは中学二年の時、エリック・クラプトンに出会った
のが高校生の時、そして私は「愛してるわ～クラプトン様～病」を発症して
しまいました。かの竹中尚人（チャーと言った方が分かりやすいですね）
も「好き好きクラプトン様病」を発症したと言います。
　「好き好きクラプトン様病」も、「愛してるわ～クラプトン様～病」も、どんな
名医も治せぬ不治の病なのです。

　ところが、当時の私はしがない高校生、しかも貧乏人の倅でしたので、レ
コードはおろか、（ってかステレオ無かったし）カセットテープも買えぬ有様
でした。もちろん、ＣＤなんてのは言葉もない時代でした。
　来る日も、来る日も、レコード店（死語！）で、クラプトンのアルバムジャケ
ットを眺めては、「欲しいよぉぉぉぉ～～～」と思っておりました。

　そして、高校を卒業して社会人になった時。私はステレオを購入したので
す。高卒の初任給が十二万円、大卒でも十五万円と言う時代に、なんと、
四十万円以上のステレオシステムを購入したのでした。
　なんと無計画で、なんと怖いもの知らずで、なんと愚かで、なんとバカヤ
ローな事でしょうか？
私が親ならば、ボコボコにして
「そんな身分不相応なモン、返してこい！あほんだら～！！」
　と絶叫した筈です。

　ちなみに私の親も、私をボコボコにしたのですが、ステレオの購入先が
入社した会社だったので、返品もきかず、憎々しげにするしか無かった様
です。

　カラーボックスみたいなスピーカーが家に運び込まれ、アンプ、チューナ
ー、カセットデッキが二台、そして、それらをカッコ良く収納するラックが来て
一日掛りのセッティングが終わった時、母子世帯、六畳一間の部屋は、壁
面いっぱいがステレオシステムになってしまいました。

　で、そのステレオですが、８０ワット＋８０ワット＝１６０ワットと言う大出力
でありました。ボリュームは１０目盛りあって、０．５にすると近所迷惑になり
ました。ですから、いつも０．２くらいで聞いておりました。（大爆）

　でま、そんなステレオを買ってしまったおかげで、金がなくなり、レコード
が買えぬと言う、本末転倒になった事は言うまでもありません。

　ま、私の人生そのものが、「本末転倒」だしね…。

　ありゃ～～、また前置きが思いっきり長くなってしまいました。
「アンプラグド」については、じゃ、明日・・・。