yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

「天使の卵」 村山由佳

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天使の卵(エンジェル・エッグ) 村山由佳

ず~~と前に買って、積ん読(つんどく)しておいた本である。
ちなみに私、そういう本がまだいっぱいあるのだ…。
っていうのは別にどうでもいいのだが…。

村山由佳さんの本はこれで二冊目。
前に「星々の舟」を読んだ。直木賞受賞作。
本作はそれより十年前、小説すばる新人賞受賞作である。

先に直木賞受賞作など読んでしまったものだから、
見劣りするのでは…と多少の不安に駆られながら読む。

杞憂であった。
確かにこの二作の間にある十年の歳月は、
村山さんに作家としての重圧感や、貫禄を備えつけるに
充分なる時間だったと思う。
しかし、裏表紙の能書きにもあるように「みずみずしい感性」
というものにおいて、「星々の舟」とは異質の感がある。


さて、主人公は十九歳、予備校生の歩太。
知らぬ事とは言え、よりによって自分の彼女の姉に一目惚れする。
彼女は夏姫、姉は春妃。
春妃は精神科医、しかも歩太の父親の担当であった。

設定としては出来過ぎの感もあるが、
こういうのは小説の出来、不出来で、問題ではなくなる。
無論、この小説では問題ではないと思う。

歩太の盲目なる想いは夏姫から、春妃に移っていく。
八歳の年齢差、社会人と予備校生というギャップも忘れ、
歩太は春妃にのめり込んでしまう。

やがて二人はある事件をきっかけに結ばれてしまうが、
妹に対して深い罪の意識を感じながらも、春妃は歩太と
愛し合うようになる。

しかし最後にとんでもない結末が…。

若さ故のわがままな恋…、
ある意味、弱みにつけこんだ様な恋…。
いろいろな恋の形が交錯し、倒錯する。


最近続編が出たそうである。
文庫本になるのが楽しみです。