yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

ニシノユキヒコの恋と冒険 川上弘美

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「ニシノユキヒコの恋と冒険」 川上弘美

川上弘美さんの作品を初めて読んだ。
店頭に山積みしてあったので買った。裏表紙も何も読まなかった。

連作短編週だというのを三作くらい読んでからようやく気付いた。
「パフェー」に出てくるニシノさんと、「草の中で」に出てくる西野君を
同じ人だとは考えなかった。

連作短編は十作に及んでいる。そのどれにもニシノやら、西野やら
ユキヒコやら幸彦が登場するが、ようは同一人物である。

全ての語り部が女性で、全て、ニシノあるいは西野、
またはユキヒコあるいは幸彦、と関係を持った。

実に羨ましい女性遍歴であるが、何故か、恋は成就しない。
ザマーみろ!と思う反面、ちと同情が入る余地もちらほらと…。

西野はしょっぱなから死んじゃうのである。
それから物語は彼の中学時代へと遡り、
思春期のニシノ、青年のニシノ、壮年のニシノ…。

ニシノとは何かの象徴なのか…。
なんでしょっぱなから死んじゃうのか…。
ここに川上さんのある種の死生観があるのだろうか?

こういう愚かな読者を思い浮かべて、
川上さんはほくそ笑んでいるのだろうか。

なにやらこの作家さんの掴みどころの無さがおもしろい。
ちょっと引き込まれようとしている。
ハマりそうな予感である。