yokohamanekoの日記

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「さおだけ屋はなぜ潰れないか」山田真哉

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「さおだけ屋はなぜ潰れないか」 山田真哉 光文社新書

今更と言う感は否めない。ロングベストセラーになっている本である。
いつまでも平台で山積み販売されていたので、気にはなっていたが、
何について書かれた本なのか良く分からずに買いそびれていた。

タイトルからして、「さおだけ屋」に精通する著者が業界の不義理を暴き、
糾弾するものではないかなどと、とんまな思い込みをしていた。
そうではなく、簡単に言えば会計学の本なのである。
と言うか、タイトルの横にちゃんと「身近な疑問からはじめる会計学」と
サブタイトルがついている。今更ことわりもないものであろう。
アホなのは私だけでした…。

会計学などと言うとちょっと腰が引けないだろうか?
私なんぞは腰が引けるどころか、とっとと尾っぽを巻いて逃げ出すクチだ。
数学は苦手だ。いや数学どころか算数でさえも危ない…。
数字が並んでいると、ちょっとめまいがする。
それが表なんぞに収まってデカイツラをしてると恐怖を感じる。
更にそれが何ページにもわたって縦横無尽に展開されるに及んで、
胃潰瘍になってしまうのではないかと言う不安にさらされる。


そんな頭の悪い、なおかつ、数字に弱い私のような人間のために
あるのがこのありがたい本なのである。
しかし会計学と言うくらいのもんであるから、新書本を一冊読んだ
くらいで分かるほど甘くはない。本書にもそう書いてある。
しかし会計学というのはおよそこんなもんである、程度の、言わば、
会計学の入り口に立てる程度にはなれると実感する。
何故なら日常のふとした疑問から題材を取り、疑問を解き明かす事で、
読み進める事が出来るのだ。

それが「さおだけ屋はなぜ潰れないか」である。
考えてみれば、私はさおだけ屋からさおだけを買った事はなく、
さおだけ屋がさおだけを売っているのも見た事はない。
だいたいが、さおだけなんぞというものは、引越しかなんかでないと
需要はなく、「た~けや~、さおだけ~~~」と聞こえたからとて、
さおだけ買わなくちゃ!などとは思わない。
それで商売になるのか?さおだけ屋!?

そこからどうして会計学の話しになるかは読んでのお楽しみである。
以上のような展開からして、そんなに堅苦しい本ではない。
それに会計学を家計に当てはめての解説が随所に見られる。
家計を預かる主婦にとっては非常に参考になるのではないかと考える。
専門用語も多々出てくるが、巻末に用語解説もあって助かる。
会計に関することわざも付録としてあり楽しめる。

そして何よりもエピソード7の「数字に弱くても数字のセンスがあればいい」
の章は必読と考える。日常生活において「数学」は必要ない。
しかし、「数字のセンス」があれば、賢く日常生活を送れる筈だ。

普通新書本と言うと、相当の覚悟と忍耐を覚悟しなければならないが、
本書はあっと言う間に読んでしまったと言うことを付け加えておく。
ベストセラーたる所以だろう…。