yokohamanekoの日記

横浜で猫2匹と暮らしております。

ノーベル文学賞


ノーベル賞が次々と発表されていますね。
文学賞はトルコのオルハン・パムクさんに決定しました。

受賞理由は
「生まれ故郷の街に漂う憂いを帯びた魂を追い求めた末、
文化の衝突と交錯を表現するための新たな境地を見出した」
との事です。

何だか良く分かりませんが…。(苦笑)

文学賞とは別なのでしょうが、パムクさんはアルメニア人の虐殺を
取り上げた作家として、マスコミが紹介しています。

二十世紀初頭、オスマン帝国からトルコという国家が成立するに
至る過程で、アルメニア人の大量虐殺事件があったそうです。
しかし、トルコはこれを戦時下における悲劇的な出来事であるとし、
虐殺とは認めていません。
これをパムクさんが取り上げたところ、「国家侮辱罪」として告発
されてしまったのです。
ところが、トルコは現在EU加盟を希望しており、言論の自由等の
人権改善をEU側から要求されています。結局、EUに配慮する形
で、パムクさんの訴訟を打ち切りました。政治的判断と言えそうです。

一方で、多くのアルメニア人を抱えるフランスでは、アルメニア人の
虐殺を否定したものを罰する法案が下院を通過しました。
これに対し、トルコは猛反発。EU加盟は優先事項でありながら、
国内の反フランス感情は高まっているのです。

単純に受賞を喜べる環境ではないらしいですね…。
しかし、彼は政治家ではありません。一作家として、自国の闇の歴史
に光を当てるのも立派な仕事です。受賞に対する非難がパムクさんに
向かわぬように願います。


それにしても…、
いくら本命ではないと言われていても、候補者に名が上がっていれば、
期待するのが人情ってもんでしょう。

村上春樹さん…残念だなぁ…。
川端康成大江健三郎さんなどのコチコチの純文学でなく、
村上さんのような、エンターテイメントにも近い人が受賞すれば、
ノーベル文学賞は一気に身近なものになるのに…。

村上さんの文章と言うのは、英語的な比喩が多く、翻訳しても
英語圏の人にはあまり違和感なく読めると思うのです。
だからこそ、多くの国で翻訳され、世界中にたくさんの読者が
いるのです。
そして内容だって、あの独特の村上ワールドです。
私は勝手に「大人の童話」と呼んで、解釈しています。

文学賞」という概念がそもそも難しい訳で…、
私なんぞの理解の範疇を遥かに超えているのは分かりますが、
いや、それにしても残念…。

ま、今回は素直にパムクさんの栄光を称えましょう。

そいえば、ずっと前に買った「海辺のカフカ」、
まだ読んでないなぁ…。