「ツナグ」辻村深月
読書から遠ざかってからだいぶ経っていました。ふとした弾みで電子書籍と言うものと知り合い、その便利さからまた本を読む様になるのですが、どうも作家が分からない。辻村深月ってのは男か?女か?と言う有様です。そんま事も知らねぇのかい!とツッコミが入りそうです。
そんなこんなで彼女の作品を読んでいるうちにたどり着いたのが「ツナグ」でした。今では続編も出ていると聞きます。(そっちは読んでないけど…)ともかく読後に溜息が出たのは久し振りでした。だいぶ昔の話ですが、それがアマゾンプライムビデオになっています。そう言えば映画化されたんだっけ。初めて見てみました。
原作だと何時間も掛かるのに、映画だと2時間。それ故にカットされた部分もあり、時間制約を受ける映画は大変です。しかしそれでも感動は伝わってきました。
死んだ者と生きている者を一度だけ橋渡しするのが「ツナグ」です。主人公の歩美君が祖母からこの力を受け継ぐまでの物語です。生きてゆく気力を無くして死んでしまった芸能人を頼るOL、横柄な態度で死んだ母親に権利書の事を聞こうする男、親友と言いつつ、一時はその親友に殺意を抱いた女子高生、結婚直前に失踪した彼女を7年も待つ男。そして歩実君の両親の自殺の原因は?
この小説は依頼主によって連作短編集になっています。それぞれに「アイドルの心得」「長男の心得」「親友の心得」「待ち人の心得」「使者の心得」と別れて話が展開されます。満月の夜、とあるホテルの9階の一室で死者との出会いが行われます。しかし呼び出された死者が実態でいられるのは夜明けまで。日が昇るのと同時に消えてしまいます。その刹那の人間関係が泣けてしまうのです。
歩美君はやがて、生きている者が自分が前に進むために死者を利用するのは冒涜ではないかと疑問を持ちます。それは「待ち人の心得」に出てきます。難しい問題です。
あなたには誰か、亡くなった方で会いたい人はいらっしゃいますか?
私ぁ、猫が良いなぁ。(爆)
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